森 絵都 カラフル
読みました。
3時間くらいでさっくり読めて、
マラソンじゃなく散歩したような気持ちよさが残りましたね。
森さんの文章は、決して修飾が豪華なわけでも、独特なわけでもないです。
けれども、淡く、読み手に立ち止まらせない柔らかいリズムが流れてます。
読んでいて、心地がよい。
こういうシンプルな文章が、味わい深いなのだなぁと思いました。
物語は、ごくフツーな展開なのだけども、嫌味もけれん味もなく、
小学生にも内容が追えるような易しさでした。
主人公が中学生なので、是非中学生の読書感想文にしてほしいですね。
タイトルどおり、カラフル、色にまつわる描写がラストに近づくに連れて豊かになっていき、
時折混ざる濁った色との彩度の対比が、一つ一つのシーンをより鮮やかに描き出していました。
自分が「こうだ」と思っている自分の性格が、見る人が変われば感じ方が違う。
十人十色ならぬ、一人十色のようなものです。
自分で自分の色を見ることはできないから、
そういうことを踏まえて他人にも寛容になれるもの。
決まりきった色を一個だけ持ってるのではなく、
ぼくたちはみんな様々な色が重なり合っている。
そんなメッセージがこめられていたのかな。
是非読んでみてください。